魔界動乱期
ザグレブは炎駒の炎の凄まじさに驚愕したが、すぐに落ち着き払った表情に変わる。

「まあ、このくらいはやってくれないと私が来た意味がありませんね。私も本気を出すとしましょう。
炎駒よ、ゲリヤミックスという鉱物をご存知ですか?」

「確かアバルの魔鉱山にそんなものがあったな」

「そうです。ゲリヤミックスは魔界で最も固く、それでいて軽い。ゆえに魔族達はゲリヤミックスを用いた武器や鎧を作る事を考えた。
しかしゲリヤミックスはどんな高温な炎でも溶かす事が出来ず、加工不可能なため、武器化や鎧化は叶っていない」

「話の流れからすると、お前はその武器や鎧を持っているという事で良いのかな?」

「ふふふ、当たらずとも遠からず、というところです。あなたは魔族でも珍しく‘物質化'が出来る種族のようですが、それが出来るのはあなただけではない…」

そういうとザグレブの体は、みるみるうちに変化していき、体中からまばゆい光を放つ‘硬質'なものに形を変えた。

「私は魔力の増幅により、体内にゲリヤミックスを取り入れる事が出来ましてね。何物も通さない、ましてや炎などモノともしない無敵の‘物質化'ができるのです!」

「ふっ、武器も通さねば、自然のエネルギーもシャットアウトか。まさに無敵だな。でも‘無敵'のお前は暗軍では六位なんだろ?」

この言葉を聞いてザグレブは怒りを露にしながら、両手を刃の形状に変化させる。
さらに体は伸縮自在らしく、両腕をヒュンヒュンと動かし出した。

「私が六位なのは、暗軍に入ってまだ日が浅いからだ!!」

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