魔界動乱期

各集団のボス達が許しを与えたのは、ジードに何らかの魅力や器を感じたからに他ならない。

「俺がジードグループに入ったのは、お前らと同じ理由さ。ジードには何かを期待させる力がある。強さなのか温かさなのかはよくわからんがな」

「お、お前ら！もうすぐグレオのエリアだからな！気を引き締めろよ！」

ニコ達の会話が聞こえたのか、ジードは照れ隠しのように皆に気合いを入れた。
と、そのとき、ジード達の前を一魔の魔獣がゆっくりと横切る。

「龍！？いや、ホルホース(馬の種族)か？」

龍のような顔、牛の尾、馬の蹄、色んな種族が複合したような、体長三メートル程の魔獣であった。
黄色い毛で覆われているが、背中の毛だけは炎のように赤い。
敵意はないように思われたが、その威圧感にジード達はつい動きを止めた。
そしてそんなジード達に、赤毛の魔獣は口を開く。

「通ってもいいかな？」