魔界動乱期
「こいつは厄介だぜ…」

土竜は、過去のギルシャス対ロジの‘八十年戦争'を思い出していた。

当時のロジには、一魔でギルシャスの師団長を何魔も葬った、ゼイベルという魔族がいた。
ザガンの特命軍時代から頭角を表したこの魔族が扱っていた属性が‘重力'だったである。

デグタスは直接ゼイベルとは戦っていないが、ラウドとゼイベルの激しい戦いを目の当たりにしていたのだ。

「重力には範囲がある!離れて戦って活路を見い出すしかねえ!」

「ゾーマの力で飛躍的に魔力が増加したときに、俺はこの無敵の属性に目覚めたのさ!」

デグタスは怒濤の攻撃を開始する。
ゼゴルの頭上から炎を吐き、さらに硬質化した土の塊を四方八方からゼゴルに放った。
しかし今度はゼゴルが氷を‘かまくら'状にし、全ての散弾を防ぐ。

「氷の防御?そうか、こいつは元々重力の属性があったわけじゃねえんだよな。だとすれば付け入る隙はある!」

デグタスは傷ついた体を気力で動かし、ゼゴルの集中を上に向けるように宙に舞う。
そして再び頭上から炎を吐いた。

「しつこい!」

ゼゴルは再び氷のシールドで炎を防ぐ。
ゼゴルの視線が上を向いた瞬間、ゼゴルの周りを囲むように、五体の土人形が形成される。
< 173 / 432 >

この作品をシェア

pagetop