魔界動乱期
過去の魔界史においてただ一魔、風を極めし魔族と言われたギルシャスの風神・バルザベルク。
その‘風’は嵐を起こし、雷を落とし、高重力を生み出したという。

「俺はこの森を愛してんだ。てめえらが狩ろうとしてる奴らはな、全員俺の仲間みたいなもの。俺の仲間に手を出すヤツは、この銀狼ルークが相手になるぜ!」

森の軍団として結束した今、全ての魔獣はルークにとって仲間も同然だ。
欲望のために仲間を狩ろうとするウラノスとケトスに対して、ルークの怒りが爆発しないわけがない。
今のルークの魔力は底無しに膨れ上がってゆく。

「こいつ、前回とは全く別魔だ!!」

動揺する二魔が回りの乱気流に気付いたとき、既に体が円を描き脱出困難な渦に巻き込まれていた。

「ぐう!ケトス、私の魔力を感じて魔力の剣を伸ばせ!」

「えっ!?突き刺しちまうぜ!それにこのまま上昇したところで何が……」

「何かヤバイ!早くしろ!」

「お、おう!」

ケトスがウラノスの魔力を感じ、剣を伸ばす。
そしてウラノスも近付く魔力を感じ取り、自分の魔力の剣をそれに絡ませた。

「うおおっ!!」

更にウラノスは力任せに魔力の剣を振り回すと、ケトスは渦の外へ放り出される。

「一魔逃れやがったか。でも、おっ?……仕方ねえな。そいつは譲るぜ」

ドガアァァ!!

渦巻きにより上昇したウラノスが、今度は逆に猛烈な勢いで地面に叩きつけられた。
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