魔界動乱期

鼓動

ウルフの副リーダー・ガイは、元々は群れを持たず戦いを好む一匹狼であった。
戦いを求め各国を渡り歩いたガイが、この弱肉強食の森に行き着き、腰を据えたのは当然の結果かもしれない。

魔獣の森でも負け知らずだったガイは、当時まだ‘新参者'であったラウドと対峙し、底の知れない強さを目の当たりにする。

初の敗北を味わったガイが次に挑んだのは、同じウルフのルーク。
ルークはガイを一蹴したが、その後は自分を狙ったガイをウルフの縄張りで休ませた。
回復したガイは再びルークに戦いを挑み、蹴散らされる。

こういったことを何度も繰り返していくうちに、ガイはルークの強さと底抜けの明るさ、また殺伐とした魔獣の森において、ルーク率いるウルフの集団の暖かさに触れる。


それでも一匹狼を貫いていたガイは、あるとき‘禁断のエリア'に踏み込み、生まれて初めて‘恐怖'にうち震える体験をする。

ラウドも妖狐も、ガイにとっては遠く敵わない存在に思えたが、妖狐の強さはまたラウドとは異質のものだった。

ラウドからは深みのある重厚感や、優しさを感じたが、妖狐から感じるものは非情なまでの冷酷さ。
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