魔界動乱期
一方ジードグループには、恐怖の魔獣の襲来により、嵐が吹き荒れていた。
ジードとニコが、それぞれ別の場所からエリアに向かっている現在、エリアをまとめているのはグレオ。

「ゲル!おい!目ぇ覚ませ!!」

傍らでは、寝そべりながら余裕の笑みを浮かべる魔獣がいる。

「おいおい、少し遊んだだけなのに、もうあと二魔になっちまったか」

雷を身に纏い、圧倒的な魔力を放つ、無敵の雷獣・ガイラである。

「こ、こいつは次元が違いすぎる!たとえジードが来ても……」

「わかりやすくカウントダウンしてやるよ。3、2、1……」

ガイラのカウントダウンが終わると、カッという光とともにドゴオォォン、と落雷の音が鳴り響く。

「う……ぐっ……」

「ほう、合図があったとはいえよく防いだな」

グレオは自分に向けられた落雷を、回りの木を結集させて防いでいた。
しかし流れ出る電撃のダメージはグレオの体を蝕んだ。

「ラ、ラルー……、逃げろ……」

「グレオ!」

「早く行け!!」

「さあて、まずは死に損ないから殺すか」

ガイラがグレオの方を見据えたとき、凄まじい魔力が辺りに漂う。

「グレオは俺が守る……!」

魔力の正体はラルーであった。
今まで辛い現実があれば目を背け、今も恐怖に震えていたラルー。

しかしカトブレパスの血を引くラルーの潜在能力が、仲間の屍を、そしてグレオの危機を目の前にして引き出されたのである。
臆病者の勇気が、秘められた力を目覚めさせた。

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