魔界動乱期
「なんだ、こいつの魔力は……」

ヌーの特徴である二本の角から、バチバチッと雷がぶつかり合う。
やがてそれは、ラルーの頭上に大きな雷球を形成してゆく。

「おいおい、雷の化身である俺様と、雷勝負をする気か?」

余裕を見せるガイラであったが、ラルーの作り上げる雷球は更に巨大さを増す。
ラルーが初めて生み出した雷は、森の強者と言われた先代カトブレパスのそれを遥かに上回っていた。

その魔力は、歴代カトブレパスの中でも随一。
雷のぶつかり合いは、魔力の大きい方が勝る。
無敵の雷獣にダメージを与える数少ない方法を、今ラルーが実践しようといている。

「ラルー!?」

叫んだグレオの目の前で、二対の光が交差した。


ガカッ!!


「ぐおおっ!!」


激しく吹き飛んだのは、ガイラ。

「おお!すげえ!!すげえぞラルー……」

振り返ったグレオは言葉を失った。

「まさか、俺様を吹き飛ばすとはな。予想外の魔力の大きさに、つい力がこもっちまった」

グレオが見たのはラルーの姿ではない。
その驚愕の光景は、グレオの頭を混乱させた。

「ラ、ラルー……」
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