魔界動乱期
デグタスのエリアでは、シンが魔穿義団の目的について語り始める。

「ゾーマとは、心強き者であれば、その力をいかんなく発揮できる。しかしそうでない者が受ければその成果は薄い」

「それでも魔力は大幅に上昇するんだろ?」

「いいとこ二割程度でしょう。しかし恐ろしいのは、ゾーマの力が抑えきれずに暴走する事なのです。ゾーマは、この暴走こそが最も大きな力を生み出す」

つまり、中途半端にゾーマを受けた者でも、その力が暴走すると恐るべき怪物となるということである。

「しかし真に恐ろしいのは、心強き者が何かのきっかけでゾーマの力を暴走させてしまったとき。未熟者の暴走でも手がつけられないのに、強者の暴走はその比ではない。それこそ、魔界を脅かすほどの」

「で、ロジにはゾーマをしっかりモノにした強者が何魔もいるってわけか」

「はい。ですから、我々はゾーマを受けた者、並びにゾーマを消し去らねばならない。魔界を守るために」

「大した正義感だな。だが、今更ロジを潰そうなんざ並大抵の戦力じゃ叶わないぜ。特にロイド。ありゃあ魔族のレベルを越えてやがる」

「そのためにラウドさんが必要なのです」

「おいおい、ラウド率いるギルシャスはロジに大敗してんだぜ」

「それは一魔一魔の戦力がロジの方が高かったというだけの事です。実際、ラウドさんはどの戦いにも敗れていない」
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