魔界動乱期
「それはおそらく違う」

「あ?なんでだよ。フレアが仕えてんだからそうなんだろ?」

「フレアは竜の一族で唯一、平常時がヒューズの、いわゆる変身型の魔族だ。彼はヒューズ時に温存した魔力を、竜の姿になる事により爆発させる事ができる」

「まあ、竜の姿になったときのフレアの魔力は凄まじいからな」

「いえ。彼は一度も、温存した魔力を使ったことがない」

「なんだと?」

「おそらくフレア自身、その能力を知らないのではないかと思います。竜の使命の意味が理解出来ていないのと同じです」

「じゃあいつ使うんだよ?……魔界を守るべきとき、か?」

「そうです。デグタスや他の竜が、他の魔族を守るとか、生かす、という使命に対して、フレアの使命は特別」

「どういう事だ?」

「フレアは自分でも気付いていないでしょうが、彼の使命はおそらく……」

このとき、やや近いエリアで激しい魔力の衝突を、二魔は感じた。

「でけえ魔力だな、だれが戦ってんだ?」

「一方の魔力が更に上昇してゆく!もしかしたらゾーマの暴走かもしれない!デグタス、行ってみましょう!」

「オ、オメエ、ボロボロじゃねえかよ」

「しばらく休んだらある程度回復しましたよ」

そしてデグタスとシンは、その膨れ上がる魔力の方向へと向かっていった。

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