魔界動乱期
「まだ生きてやがるのか。だが……」

「ディナス、貴様……!!」

怒りにうち震えるネロの全身は重度の火傷を負っており、右足は溶けてなくなっていた。

「ネロ、終わりだよ」

シュパッ!

微量の、且つ高熱度の炎を纏ったディナスの手刀は、まるで薄っぺらい紙でも切るかの如く、ネロの首を切り落とした。
首のないネロの体は、ガクッと力なく膝をつく。

「イピリア、ネロはまだかなりの残存魔力を残してるぞ。食事をしたらどうだ?さすがに死んだヤツぁ生き返らないだろ?」

イピリアが沼から上がりガバッと口を開けると、ネロの体が吸い込まれていった。

「どうだ?結構な魔力が残ってただろ?」

「ピギ………」

「イピリア?」

「ピ……ギャ……ギイィィィ!!」

突然、イピリアが苦しみだしたかと思うと、イピリアの体を何本もの腕が突き破った。

「なんだ!?」

そしてイピリア、いや、イピリアの内部から膨大な魔力が放出される。
更にその腕の一本がネロの切断された頭を掴み、イピリアの内部へと引き込んだ。
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