魔界動乱期
ネロもそれに対抗するかのように、ひび割れた大地を、砂の能力でいくつも持ち上げ始め、それはディナスの足元のバランスを奪う。

ディナスは風を纏って宙に浮き、更に魔力を大沼の水に込めた。
それは空中で、空を覆う程の‘水の杭’へと形を為す。

「昔から化物退治は、胸に‘杭’を突き立てる事って決まってんのさ!」

しかし水杭が完成する一歩手前で、ネロの作り上げた大地の破片(かけら)がピクピクと動いた。
そしてそれは隙間なくディナスに襲いかかったのである。

「くっ!逃げ場が……!」

魔力の全てを水杭に費やしたディナスには魔方防御が出せず、逃げ場もない。
最後の大魔法を放つ間もなく、ディナスは死を待つしかなかった。

「くそっ!!………え?」

大地の破片がディナスを押し潰すまさに直前、その破片の動きがピタリと止まる。

「間に合いましたねデグタス!」

そこにやって来たのは、ゾーマの暴走を感じ取ったデグタスとシン。
デグタスは土という、ネロと同じ‘大地系属性’を駆使して、大地の破片の動きを封じ込めたのである。

「ググ……なぜダ!?」

「あれは土竜……デグタスか?」

「ディナスよお!ケリつけろや!それで今までと今回の貸しはチャラにしてやらあ!」
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