魔界動乱期
「ありがてえ!!」

ディナスの全魔力とイピリアの霊力を込めた水杭が落下し始める。
そしてそれは、一瞬でネロへ届いた。

「グゴォ!!」

ネロは全ての腕から砂壁を作り出し、ガシッと受け止める。
しかし次第にネロの脚が地面へめり込んでゆく。

「ググ……ディナス!……グオアァァァァ!!」

森全体に響きわたるかとも思える、断末魔のようなネロの叫びがこだました。
瞬間、デグタスの水杭が光を帯びる。

「最後まで迷惑なヤロウだ。……あの光は、イピリアの魂か?」

ディナスがそう解釈していると、水杭は更なる光を放つ。
そして……


ズアァ……!


「え!?」

皆同時に声を上げた。

「な、なんという事だ……」

シンだけでなく、ディナスもデグタスもその光の意味を理解した。
その光は水杭から発せられたのではない。
真下から、ネロの口から、魔力を凝縮させた魔光砲がその水杭を消し去る前の光だったのだ。
< 207 / 432 >

この作品をシェア

pagetop