魔界動乱期
‘お前らしいな。それで、その魔神の名はなんというんだ?’

‘興味がないので忘れてしまった。エル……、うむ、何だったか……’

「ジードの成長の早さ、そして神族のみ使える空の属性。間違いない。魔界を滅ぼそうとする魔神の名は……‘エルナーク’だ!!」

衝撃の結論がラウドの心を揺さぶる。
ジードの言葉には、それを実現してくれそうな期待感と不思議な魅力がある。
ジードにも根拠はないのだろうが、ジードの中に眠る神の血が、周りに影響を与えていたのだろう。
ラウドはそう考えていた。

その頃、アバル軍と森の軍団との戦いは終局に近付いていた。
アバル軍の主力である、第八師団長のゼロスを白虎が討ち取り、第五副師団長のゼニードはマカラとエアレーによって倒された。

残りのアバル軍の主力は第十副師団長のルガンダと、そして無敵の雷獣ガイラ。
そのガイラと相対しているのは、怒りで魔神の血を表に出したジードであった。
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