魔界動乱期
ラウドの過去(前編)
【む、そういえば、大事な事を言い忘れたな。ジードはラウドのいる高台へ戻ったのだよな。仕方ない。………伝えるために仕方なく、だ】
妖狐がやはり素直になりきれていないとき、この戦争は終結を迎える。
ネロとガイラが倒され、自分以外の主力を倒されたと知った第十副師団長のルガンダが、全軍退却を意味する赤い閃光弾を打ち上げたからだ。
そして勝ち名乗りを上げる、森の魔獣達の咆哮がそこかしこに響き渡る。
「ガイ!みんな!俺たちは勝ったぞ!!」
ルークも、勇敢な戦死を遂げたガイやウルフの仲間達に届くように、目一杯の雄叫びを上げた。
それと同時に、ジードが高台へ戻る。
「親父!勝ったんだな、俺達」
「ジード、無事だったか」
ジードとラウドは互いに勝利を喜び合い、ラウドは息子の無事を確認して強く抱き締めた。
「妖狐に助けられたのか?」
「ああ。そうらしい」
「そうか……」
「そういえばさあ」
「ん?」
「妖狐さんが親父の事、好きだってさ」
「ほう、それはまた……ブホッ!!ななな、何を……!」
いきなりの不意打ちで鼻水や唾を吐き出すラウド。
そしてジードはラウドの後方に視線をやりながら、
「あ、妖狐さんだ」
「何!?」
ラウドは必死に、顔に散乱した唾液を拭き取り、平静を装う。
「お、親父……わかりやす過ぎるぜ。こういうとこは見習わないでおこう。でもこれ、両想い決定的だな」
「……来ないではないか。ジード……まさか、親をからかったのか?」
ゴゴゴゴ……と高台が震える。
「い、いや!ちょっと確認事項を……」
妖狐がやはり素直になりきれていないとき、この戦争は終結を迎える。
ネロとガイラが倒され、自分以外の主力を倒されたと知った第十副師団長のルガンダが、全軍退却を意味する赤い閃光弾を打ち上げたからだ。
そして勝ち名乗りを上げる、森の魔獣達の咆哮がそこかしこに響き渡る。
「ガイ!みんな!俺たちは勝ったぞ!!」
ルークも、勇敢な戦死を遂げたガイやウルフの仲間達に届くように、目一杯の雄叫びを上げた。
それと同時に、ジードが高台へ戻る。
「親父!勝ったんだな、俺達」
「ジード、無事だったか」
ジードとラウドは互いに勝利を喜び合い、ラウドは息子の無事を確認して強く抱き締めた。
「妖狐に助けられたのか?」
「ああ。そうらしい」
「そうか……」
「そういえばさあ」
「ん?」
「妖狐さんが親父の事、好きだってさ」
「ほう、それはまた……ブホッ!!ななな、何を……!」
いきなりの不意打ちで鼻水や唾を吐き出すラウド。
そしてジードはラウドの後方に視線をやりながら、
「あ、妖狐さんだ」
「何!?」
ラウドは必死に、顔に散乱した唾液を拭き取り、平静を装う。
「お、親父……わかりやす過ぎるぜ。こういうとこは見習わないでおこう。でもこれ、両想い決定的だな」
「……来ないではないか。ジード……まさか、親をからかったのか?」
ゴゴゴゴ……と高台が震える。
「い、いや!ちょっと確認事項を……」