魔界動乱期
【ヌシがいると、我の言いたい事を全て話してしまうな。だが、親であるラウドには出来ないであろう提案がある。非常に危険な提案だ】

「なんだい?」

【ジードよ、ヌシはこの戦争でアバル軍に見られたか?】

「いや、エージェントと戦った後、すぐにエリアに戻ってガイラと戦ったから、見られてないよ」

【うむ。ならばヌシは、アバル軍に入れ】

「え?」

「なんだと!?」

【理由はある。アバルは学者の都と呼ばれ、過去の歴史探索に余念がない。歴史から抹殺されたゾーマでさえも発見した程だ。つまりアバルに行けば、魔神に関する何らかの秘密がわかるかもしれんぞ。それにアバルは魔獣の森討伐を諦めていまい。森を守る事にも多大な力になる】

「ダメだ!バレたら殺される!」

【ヌシの親はこう申しておるが?】

ジードの答えは一瞬だった。

「親父、俺は行くぜ。自分のためにも、森のためにもなる」

「ジード!!」

【アバルの国王にでもなれば、一石二鳥だな。それにアバルのどこかに、神族が住む神殿があるとも聞いた事がある】

「ひとつ、思ったんだけどさ。魔神の生まれ変わりは何魔も生み出せるのかな?」

【魔神は死しても魔力を保てるらしい。だが、それには限りがある。例えば十の力のうち、五をセクドに、残りの五をジードに、という具合だろう。もちろん魔力配分を小さくすれば多くの生まれ変わりを作れるだろうが、大した力のない魔神を生んでも意味があるまい】
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