魔界動乱期
「つうことは、俺がしっかりすれば魔界の平和は保たれるって事だな。親父、心配すんなって!」

しばらく黙っていたラウドは、諦めたように言葉を発する。

「止めてもお前は行くだろうからな。アバル王の変化も気になる。この際だ。お前、アバルを変えてこい」

「おう!出発は明日だ!」

【我は行く。朗報を待っているぞ】

「え?もう行っちゃうのかい?これから親父と妖狐さんの二魔だけにさせようと思ってたのに……」

【ヌシら親子といると調子がくるうからな】

「明日から毎日来てねえ。親父しかいないからさあ!」

妖狐は振り返る事なく去っていった。

「お前、妖狐と仲良いな」

「でも妖狐さんが好きなのは親父だよ」

「冗談を言うな……」

「はあ、ダメだなこりゃ。親父は気付いてないのかよ?それとも気付かないふりをしてんのか?」

ラウドはジードの言葉を聞きながら、さきほどシンが別れ際に残していった言葉を思い出していた。

‘バルザベルク様は生きています。あなたを必要としている’

「親父だって妖狐さんのこと好きなんだろ?さっきの反応見てりゃ一目瞭然なんだけどなあ?」
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