魔界動乱期
そして下半身を押さえていた影が、妖狐の両足を開き、更なる蹂躙を始めようとする。

【や……やめろ……】

そのとき、パシャアッと妖狐の全身が水となり飛び散った。

「な、なんだ!?」

するとその飛び散った水が、巨大な水龍となって影達に襲いかかったのだ。

「うがあっ!」「ど、どうなっている!?」

次の瞬間水龍は消え、一魔の影が何者かに押さえつけられていた。

「お前達、どこの者だ?なぜ妖狐を襲った?」

「貴様は……ラウド!!」

「はい、妖狐さん確保っ、と」

そしてその隙にバルザベルクが妖狐を確保し、上着を妖狐に被せた。

「仕方ない、散れ!!」

残りの影は四散し、ラウドに捕まった影は……

「こいつ!……自害したか」

「妖狐さんをこんな目に合わせやがって!あいつらどこのヤツらだ!?」

「おそらくリマだと思うが、証拠がないな。それに妖狐が襲撃されたという理由は、リマに戦争を仕掛ける大義名分にはならん」

【う……】

「妖狐さん!」「妖狐!」

【ラウド……それに…バルザ……】

二魔の名前を呟いた後、妖狐は気を失った。

「妖狐さん……ちゃんと俺の名前覚えててくれたんだな。あいつら……許せねえ!!」

「バルザ落ち着けよ?怒りに任せた行動はギルシャス様の品位を汚す事につながる」

「オメエはなんでそんなに落ち着いてられんだ!!妖狐さ……、はっ、ラウド……」

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