魔界動乱期
ラウドの過去(後編)
ギドラス来襲の報はギルシャスを激震させた。
ギルシャスは、驚異の雷獣に備えて更なる守りを築くことになる―
ラウドは、スパニーボの森を訪れていた。
「妖狐、また戦争についてきただろ。隠れていてもわかっているんだ。お前は多くの死が行き交う戦争には来るべきではない。第一ギルシャスの魔族ではないだろう!」
【知らんな。ヌシの勘違いだろう】
「お前が他の魔族を殺す姿など見たくはない!幸いそこまでは至っていないようだがな。もう絶対についてくるなよ?」
念を押すように言葉を残し、ラウドは森を出ていった。
殺しの誓いを立てて数十年。
妖狐はまだ、その手を血で染める事はなかった。
実際、ラウドを脅かすような魔族は現れていないし、ギルシャスの戦争のほとんどが、周りの国で起こる内乱の鎮圧という小さなものだからだ。
妖狐は自分の両手を見つめている。
【大丈夫だ、この手はラウドを守れる……】
そのときである。
一筋の稲光が妖狐の目の前に落ちた。
「妖狐……。ラウドを食らうまえに貴様を食らい尽くす!俺にはもっと多くの狂気が必要だ!」
復讐に狂うギドラスが次に標的にしたのは、伝説の魔族と呼ばれる妖狐であった。
【雷獣とは、面白い来客だな】
「座って余裕こいてんじゃねえぜ!」
ピシャーン!と雷撃が落ちる。
しかしそれは、妖狐の頭上で消え去った。
「なんだと!?」
次の瞬間、自分に迫り来る‘何か’を感じ取ったギドラスは、咄嗟にその場から離れる。
「今、何かが来たと思ったが……」
【野性とは素晴らしいな】
ギルシャスは、驚異の雷獣に備えて更なる守りを築くことになる―
ラウドは、スパニーボの森を訪れていた。
「妖狐、また戦争についてきただろ。隠れていてもわかっているんだ。お前は多くの死が行き交う戦争には来るべきではない。第一ギルシャスの魔族ではないだろう!」
【知らんな。ヌシの勘違いだろう】
「お前が他の魔族を殺す姿など見たくはない!幸いそこまでは至っていないようだがな。もう絶対についてくるなよ?」
念を押すように言葉を残し、ラウドは森を出ていった。
殺しの誓いを立てて数十年。
妖狐はまだ、その手を血で染める事はなかった。
実際、ラウドを脅かすような魔族は現れていないし、ギルシャスの戦争のほとんどが、周りの国で起こる内乱の鎮圧という小さなものだからだ。
妖狐は自分の両手を見つめている。
【大丈夫だ、この手はラウドを守れる……】
そのときである。
一筋の稲光が妖狐の目の前に落ちた。
「妖狐……。ラウドを食らうまえに貴様を食らい尽くす!俺にはもっと多くの狂気が必要だ!」
復讐に狂うギドラスが次に標的にしたのは、伝説の魔族と呼ばれる妖狐であった。
【雷獣とは、面白い来客だな】
「座って余裕こいてんじゃねえぜ!」
ピシャーン!と雷撃が落ちる。
しかしそれは、妖狐の頭上で消え去った。
「なんだと!?」
次の瞬間、自分に迫り来る‘何か’を感じ取ったギドラスは、咄嗟にその場から離れる。
「今、何かが来たと思ったが……」
【野性とは素晴らしいな】