魔界動乱期
モルキが唾をペッと吐くと、それが鋼の水礫となり二魔に襲いかかる。

「ちぃっ!」

別々の方向にかわすジードとニコ。
しばらくその攻防が続く。

「あいつ、遊んでやがる!くらえっ!」

ニコが水礫をかわしざま、風の魔法・カマイタチを放った。

「水壁」

しかし、モルキの作り出した分厚い水の壁に阻まれる。
間髪入れず、モルキの後方に回り込んだジードが拳を放つ。

「吹っ飛べ小僧」

モルキは後ろを振り向きもせずに、激しい水を噴射させ、ジードを押し流した。

「うわあっ」

モルキの立ち位置から激流の川が流れるように、もの凄い勢いで流されるジード。

「ジード!!」

ニコは風を纏い空中を移動し、川から出たジードの手を掴み上げた。

「ガハッ!……くっ、ニコ、助かった」

ジードを引き上げたニコの顔に迷いはなかった。

「ジード、逃げるぞ!!」
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