魔界動乱期
時刻は既に翌朝の九時を回っていた。

ラウドは、エレナを失った悲しみに打ちひしがれ、朝を迎えた。精神的な疲労感が酷く、体を起こす事が出来ない。

「エレナ……」

もう戻って来ない最愛のエレナの存在。魔生の中でも最高の喜びを手にしようとした途端、最愛のエレナが幻のように消えた。

「もう戻って来ない。戻って………、妖狐はちゃんと戻ってくるだろうか」

ラウドは集中して、妖狐の魔力を探った。

「いない?ギルシャスにも妖狐の魔力を感じない。一体……、まさか、妖狐のやつ……!」


ラウドは起き上がり、リマの方角へと意識を集中する。

「な、なんだこの魔力は!?禍々しい……。しかもどんどん他の魔力が消えていく!まさか、この禍々しい魔力は妖狐なのか……?」

妖狐が、エレナの件で責任を感じたのではないか。
そう思ったラウドは、気付くと家を飛び出していた。
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