魔界動乱期
「お、おい、ニコ!」

ニコはジードの手を掴んだまま、その場を飛び去ろうとする。
しかしそのとき、どこからともなく発生した水が、ニコの顔にまとわりついた。

「ガボッ……!むぉっ!」

「ニコ!くそっ!どうなってやがる!」

その様子を見ながらモルキがほくそ笑む。

「小僧、魔法というものを理解していないようだな」

「なんだと!?」

「魔法は自然エネルギーを活性化させるもの。無から有を生み出すのではない」

「じゃあなぜ、何もないところから水が……」

「空気中には湿気、つまり水分が存在する。儂はそのウルフの回りの水分を活性化させたに過ぎん。こういう風にな」

モルキの言葉が終わるか終わらないかのうち、ジードは自分の顔の周辺からシャワシャワ…という音がするのを感じた。
次の瞬間……

「うっ!……グバッ!ガボボッ!!」
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