魔界動乱期
「ひいっ!!」

リマでは、妖狐の前から逃げ出そうとしたギドラスだったが、空間を削られ、いつまでも妖狐の前から動けずにいた。

【さて、消えろ雷獣よ】

妖狐がギドラスに向けた手を握り込む。

「やめろ妖狐!!」

突如現れたラウドが妖狐の手を掴んだ。

【ヌシ……】

「妖狐、もうこんな事はやめるんだ!悪いのはお前じゃない!」

ラウドはそう言いながら、妖狐の全身を見回した。
妖狐自身の血、リマ兵の血で真っ赤に染まった妖狐の姿を。

「こんなお前を……見たくはない!」

ラウドの思惑をよそに、妖狐は掴まれた手を振りほどく事なく、握り込む。

「ぐ…あ…やめろぉー!あぁぁ……」

そしてギドラスは跡形もなく消えた。

「よ、妖狐!なぜ殺した!?」

妖狐はラウドの方を無表情で振り向いた。

【ヌシは……誰だ?邪魔をするなら消す】

「妖狐……」


【と言いたいところだが、目的は果たした。さらばだ】
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