魔界動乱期
そして一時間後―

「おいおい、そりゃあ一番の衝撃事実だな!確かにそっち系の事に関しちゃあ、ルークもデグタスも頼りにならなそうだが」

「でしょ?ルークさんに話したらその瞬間から森全体に広がりそうだしさ。なんか直感的に炎駒さんしかいないかな、て。親父をけしかけてくれよ」

「ラウドは良い息子を持ったもんだな、ぷぷっ!英雄にも可愛い一面があったもんだ。ルークじゃなくてもからかいたくなるな。まあ、任せろよ」

「頼んだよ炎駒さん!」

こうしてジードは次の場所へと飛び立った。

「さあて、アイツの所へ行くのは少々腰が引けるが……。まあ行くしかねえな」

ジードが次に訪れたのは、激しい戦闘の跡が残るエリア。
元々大きな沼があった湿地帯である。
ジードがその場所に着くと、突き刺さるような攻撃的な魔力がジードの肌を刺激した。

「決着をつけに来たのか?ジードよ」

「お、おい。別に戦いに来たわけじゃねえよ……、ディナス」

ジードが訪れたのは、元アバルの住魔、ディナスのエリア。
ジードがディナスと顔を合わせるのは、二魔が激しく激突したあの時以来であった。

「実はアバルに潜入することを決めてな」

「アバルに?」

ディナスの表情が更に険しくなる。

「あ、ああ。森を救うためだ。だからアバルに詳しいお前に色々と聞きたくてな」

「やめとけ。オメエ程度じゃ、正体がバレて殺されるのがオチだ」

「なんだと?」

「どうしても聞きてえなら力づくで聞き出してみろよ」

大地を揺るがす程の魔力がディナスから発せられる。
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