魔界動乱期
「あ?嘘だ?」

「お前、さっき膝ついてたじゃねえか。今も足ガクガクしてるしよお」

「て、てめっ……見てたのか……!?」

ディナスは途端に照れてあたふたと動揺する。

「く……くく…ぷはっ!だはは!」

その様子を見たジードは、思わず笑いだした。

「な、何、笑ってやがる!」

「だってよお!……‘これが俺とお前の力の差だ。キリッ’!負けず嫌いにも程があるぜ!だははは!」

ジードは笑いが収まらず、ついには地面に座り込んだ。
ディナスも照れ臭そうにして地面にあぐらをかく。
その後、しばらく二魔は空を見上げていた。

「俺さ、魔神の……悪魔の生まれ変わりなんだってよ」

不意にジードが口を開く。

「ふうん、そうなのか」

ディナスは全く驚く様子もなく、少しの豆知識でも聞いたかのような反応を示した。

「いつ暴走して自我がなくなっちまうかと思うと……」

「オメエはラッキーだなあ」

「え、ラッキー?」

「だってよお、なんとかすりゃあ自我を保ったまま、魔神の力をモノに出来るじゃねえか」

「この言い様のない不安がわかるやつは……」

「わかるさ」

「あ……」

ディナスは生物兵器キメラに改造されてから、ずっと内なる戦いを続けてきた。

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