魔界動乱期

顔の回りに囲いでもあるかのように、水は決してこぼれ落ちる事なく二魔の呼吸を奪ってゆく。

(自然のエネルギーを活性化だと……？このままでは、俺もニコも溺死する)

二魔ともしばらくもがいていたが、先にジードが体の動きを止めた。

「まずはヒューズの小僧がくたばったか。やはり魔獣に比べて、ヒューズの肺活量は低いようじゃな。さっきの動きを見て少しは期待したんじゃがのう」

モルキがしばらく様子を眺めていると、ジードを覆っている水が少し膨らんでいくように見える。

「なんじゃ？」

そして水はボコボコと音をたて、目に見えて膨張してゆく。

「あれは……！儂の魔法を上回る水の能力で回りの水を押し流そうとしておるのか！？誰じゃ！？」

モルキは辺りを見回したが、それらしき魔族の姿は見当たらない。