魔界動乱期
「この国のグレイドは知ってるよな?」

「えと……、フロティア?」

「そうだ。王は四麒麟のリーダー、黒麒麟の星牙(せいが)。一番の対抗勢力はフロティアの隣に位置するガルダナスだ。ここの王のサリナスってヤツは、七色の魔法を持つ、て言われてる」

「七色?」

「属性の数が多いんだと。そして全ての魔法が絶大な破壊力を秘めている。サリナスは三王と肩を並べる程の実力があるって言う魔族も多い」

他にも、齋の王・飛龍(フェイロン)は神族である龍の血を引いているという。
さらにガジェリアの魔族は勇敢な戦闘民族と言われ、王のムンドゥが先陣を切って戦う戦争は圧巻らしい。

「だけどよ、最も新しいメディオって言われてる我がアバルだって負けてねえ。軍団長のヅェシテ将軍はきっと魔界でもトップクラスの魔族だ。それに、暗ぐ……いや、他にも名だたる魔族がいる」

フォルツが言いかけたのは‘暗軍’。
そのリーダーでありヅェシテと双璧をなすというガルバイルの事を、フォルツは言いかけたに違いない。
あらかじめディナスに話を聞いていたジードはそう悟った。
暗殺専門部隊である暗軍は、表舞台に出る事はないのだろう。

「ただな。ヅェシテ将軍は規律の厳しい魔族でな。首都勤務出来る者は精鋭揃いの第一師団千魔と、二から四師団の上位小隊長だけだ。今まで例外はないからなあ。どちらかというと、地方でアバル軍に入り、そこで戦果をあげて……ていう方が良いと思うぞ?」
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