魔界動乱期
フォルツは親切心でアドバイスした。
長い時間をかけてせっかく首都へたどり着いても、冷たくあしらわれるのが目に見えていたからだろう。

「フォルツさん、ありがたいけどやっぱり俺は首都に向かうよ。旅は色々刺激になるしな」

「そうか……。そうだな。じゃあ首都へ行くのに効率の良い道筋を教えるぜ」

そう言ってフォルツは、用紙に今度はアバルの地図を描く。

「まずは海岸沿いを歩いていくと、オンタナていう都市がある。アバルでも三番目に大きな都市だ」

「あ、あなた!オンタナは今……」

フォルツの話の途中にクーリンが割って入った。

「クーリン、皿片付けてくれ」

「え?ええ、わかったわ……」

フォルツはクーリンを遠ざけるように、テーブルの片付けを依頼する。
このやりとりにジードは違和感を覚えるが、さほど気には留めずに話を聞き始めた。

「……でだな、オンタナを抜けた後は、セル山脈を突っ切る」

ガシャーン!
話が聞こえたのか、クーリンが皿を落とし、数枚の皿が割れてしまった。

「ご、ごめんなさい……」

「だ、大丈夫?クーリンさん」

「クーリンはおっちょこちょいだからな。で、その後は……」

その後もフォルツは、首都・アバルまでの道のりを丁寧に教えた。
地図を見ながらの説明だった事で、その道筋はジードは完璧に頭の中に入れる事が出来た。
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