魔界動乱期
延々と広がる家屋をジードが眺めていると、後ろから魔族が話しかけてきた。
「あら、新しい居住者の方?」
まだ小さな男の子を連れた女性である。
「あ、いえ、俺は旅してて。あの、ここにある家はなんでこんな、強化されているんだい?」
「お兄ちゃん‘ダイフォン’知らないの?」
「ダイフォン?なんだい、それ?」
「旅の方では知らないのも無理ないわ。ダイフォンていうのは……」
その女性の話だと、ダイフォンというのは風の精霊で、魔界の海のど真ん中にいるという。
ダイフォンがひとたび呼吸をすると、巨大な竜巻が生まれる。
それはダイフォンの分身とされ、いつしか魔界にいくつも存在している巨大な竜巻の事を総称して‘ダイフォン’と呼ぶようになったらしい。
「ダイフォンは通常なら陸地には上がらず、海で発生してそのまま上空に消えていくのですが……。アバルの科学者の分析によると、そのうちの一つが、このオンタナのど真ん中に来てから上空に消えると言うの」
「だから吹き飛ばされないように家を強化しているのか」
「お兄ちゃん、ダイフォンはねえ、すっごい力が強いんだって。街ひとつぐらい、簡単に吹き飛ばしちゃうんだって」
「え?そんなにすごい竜巻なのか?」
「でも大丈夫だよ!この街の第十八師団長のバンジュウ様が、ダイフォンを退治してくれるんだ!」
「国軍も一丸となって防いでくれるんですって。だから私達も安心だわ」
「あら、新しい居住者の方?」
まだ小さな男の子を連れた女性である。
「あ、いえ、俺は旅してて。あの、ここにある家はなんでこんな、強化されているんだい?」
「お兄ちゃん‘ダイフォン’知らないの?」
「ダイフォン?なんだい、それ?」
「旅の方では知らないのも無理ないわ。ダイフォンていうのは……」
その女性の話だと、ダイフォンというのは風の精霊で、魔界の海のど真ん中にいるという。
ダイフォンがひとたび呼吸をすると、巨大な竜巻が生まれる。
それはダイフォンの分身とされ、いつしか魔界にいくつも存在している巨大な竜巻の事を総称して‘ダイフォン’と呼ぶようになったらしい。
「ダイフォンは通常なら陸地には上がらず、海で発生してそのまま上空に消えていくのですが……。アバルの科学者の分析によると、そのうちの一つが、このオンタナのど真ん中に来てから上空に消えると言うの」
「だから吹き飛ばされないように家を強化しているのか」
「お兄ちゃん、ダイフォンはねえ、すっごい力が強いんだって。街ひとつぐらい、簡単に吹き飛ばしちゃうんだって」
「え?そんなにすごい竜巻なのか?」
「でも大丈夫だよ!この街の第十八師団長のバンジュウ様が、ダイフォンを退治してくれるんだ!」
「国軍も一丸となって防いでくれるんですって。だから私達も安心だわ」