魔界動乱期
マーシュの家は二階建てで、フォルツの家と比べたらかなり強度も高く、近代的な家である。
「すみません、そういえば私達、しっかりと名乗っておりませんでしたね。私はマーシュ、この子はユンク。それで、あなたのお名前は……」
バンジュウに聞かれても名前を言いたがらなかったジードを見ているマーシュは、遠慮がちに聞いてみる。
「ジード」
ジードは関わりを持ちたくなかっただけで、特に名前を言いたくないわけではない。
さらっと答えたジードを見て、マーシュは何だか気分が高揚する感覚をおぼえた。
「ジード様、とおっしゃるのですね。ドラガンをものともしない強さ、どこかの国の高名な方かしら?」
「いや、俺は片田舎から出てきたばかりで、ぜんぜんそんなんじゃないよ。それとさあ、マーシュ?なんか、その‘様’だとか、話し方が丁寧すぎてむず痒いんだけど……」
「ジード様は私達の命を救ってくれた方ですから。丁寧になってしまうのは当然です。あのままジード様が現れなかったら……、本当にありがと……、はっ、す、すみません!」
いつの間にかジードの手を握りしめていた自分に気が付き、マーシュは顔を赤らめてバッと手を離した。
「あの、食事を作ってまいります!」
「あ、ああ、ありがとう……」
ジードもなんだかわけもわからずドキドキしていた。
以前、妖狐に顔を近付けられたときも感じた、女性を相手にしたときに芽生える感じ。
「う、なんか顔が熱いな……。女は変な魔法を使うのかな……?」
「すみません、そういえば私達、しっかりと名乗っておりませんでしたね。私はマーシュ、この子はユンク。それで、あなたのお名前は……」
バンジュウに聞かれても名前を言いたがらなかったジードを見ているマーシュは、遠慮がちに聞いてみる。
「ジード」
ジードは関わりを持ちたくなかっただけで、特に名前を言いたくないわけではない。
さらっと答えたジードを見て、マーシュは何だか気分が高揚する感覚をおぼえた。
「ジード様、とおっしゃるのですね。ドラガンをものともしない強さ、どこかの国の高名な方かしら?」
「いや、俺は片田舎から出てきたばかりで、ぜんぜんそんなんじゃないよ。それとさあ、マーシュ?なんか、その‘様’だとか、話し方が丁寧すぎてむず痒いんだけど……」
「ジード様は私達の命を救ってくれた方ですから。丁寧になってしまうのは当然です。あのままジード様が現れなかったら……、本当にありがと……、はっ、す、すみません!」
いつの間にかジードの手を握りしめていた自分に気が付き、マーシュは顔を赤らめてバッと手を離した。
「あの、食事を作ってまいります!」
「あ、ああ、ありがとう……」
ジードもなんだかわけもわからずドキドキしていた。
以前、妖狐に顔を近付けられたときも感じた、女性を相手にしたときに芽生える感じ。
「う、なんか顔が熱いな……。女は変な魔法を使うのかな……?」