魔界動乱期
さらにそれはニコの体の自由も奪った。

「貴様ら、特にヒューズの小僧は危険だ。猶予はない」

モルキは空中に巨大なつららを生み出し、それをジードの心臓目掛けて放った。

「くそっ!動け!くそぉぉ!!」



ズドッ!



つららが突き刺さる鈍い音がした後、ジードとニコを拘束していた水柱が消え、二魔はドサドサッと地面に落とされた。

「ジード!!」

ニコがジードのもとに駆け寄ると、ジードは何が起こったかわからない顔をしていた。
胸に穴は開いていない。
ふと頭上を見上げると、巨木がへし曲がり、ジードの身代わりのように氷のつららが突き刺さっていた。

「お、おお……」

うめき声を上げているのはモルキ。
木の幹が鋭利な刃物の如く変化し、モルキの右手を断ち切っていたのだ。
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