魔界動乱期
距離を取ろうと足を踏ん張ろうとしたとき、ホルンはその異変に気付く。
グッと力を込めた両足には、明らかに地面を捉える感触がなかったのだ。

「僕は、倒れているのか！？くそっ、間に合え！」

サイクロプスが今度こそホルンを叩き潰そうと棍棒を振り下ろしたと同時に、斜め上から一本の木の枝がホルンの手元へ伸びる。

「よし、掴んだ！」

ホルンが木の枝を掴んだところで、伸ばした枝の能力を解除する。
すると、木の枝は一瞬で元の位置に戻り、それとともにホルンも上方の木の枝へと移動した。

「ちっ、ちょこまかと」

「あの高音の衝撃はやっかいだな。狙いが反らされるし、感覚を奪われる。今度あの体勢を見せたら耳を塞いで防ぐしかないか……」

ホルンの視界も回復し、高い木の位置からサイクロプスを見下ろして考えを巡らせていると、再びホルンを目眩が襲った。

「ま、また！？木を掴み……あっ！」

ホルンはフラつく体を支えるために木の枝を掴もうとしたが、手は空を切り、ホルンは木から落下してしまった。

「空中ではかわせないだろう！」

無造作に落下するホルンに向けて、サイクロプスの一撃が繰り出された。
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