魔界動乱期
ホルンにはサイクロプスの攻撃がどこから来るか把握出来ていない。
当然剣でガードする間もない。

「魔力防御を……！」

今ホルンに出来ることは、いち早く攻撃方向を察知し、そのポイントに魔力を集中させて少しでもダメージを和らげる事。

一瞬にして意識をサイクロプスの殺気に向けたホルンは、背中からのプレッシャーを感じた。

「う、後ろか！」

咄嗟に空中で体を反転させようとするホルン。
結果、サイクロプスの鉄槌はホルンの左側面を、ガードした左腕の上から捉えた。

ベキベキベキ！

「ぐはあっ！！」

尋常ならざるそのパワーで放たれた一撃は、骨の砕ける音と共に、ホルンの体を百メートル程吹き飛ばした。

「ぐはっ！ガボッ！ガハアッ！」

左腕は完全に粉砕され、ガード越しに受けた肋骨やあばらも、かなり持っていかれた。
更に内蔵の損傷からか、ホルンは何度も大量の吐血をしている。

「はっ、はっ、はっ……、あの目眩は……ヤツの目によるものか」

ホルンの予想は当たっていた。
サイクロプスの目にはカメラでいうピント機能がついており、サイクロプスのピントに照準が合うと、対象の者は平衡感覚を奪われるのである。
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