魔界動乱期
しかし、体に無数の刃を受けながらも、サイクロプスの右手はググッと棍棒を握りしめる。

「残念だが……俺の体を貫くまではいかなかったなあ……!さあ、死……、何!?」

棍棒を振り上げたとき、サイクロプスの目の前にホルンはいなかった。

「ヤツはどこだ!?」

サイクロプスの武器である強靭な肉体。
ホルンはそれを決して過小評価をする事はなかった。

「これで終わりだ!」

ホルンは無数の木々を隠れ蓑にして、その場から跳んだ。
ホルンが信じた武器とは、備わった属性ではなくその戦略的頭脳。
自ら描いた策に全てを託したのだ。
剣を突き立てたがら、サイクロプスの頭上へと下りてくるホルン。

「上!?」

サイクロプスが見上げたとき、その大きな目には迫りくる剣が見えた。
それが、サイクロプスが見た、最後の光景となる。

ホルンの剣は、サイクロプスの目から浸入し、そのまま脳を貫いた。
集中力が途切れたところで、魔法の効力が解けて木々達は元に戻る。
ズズゥン…と地響きを上げてサイクロプスの体が地面に倒れた。

「痛ぅっ!……はあっ、はあっ……セレナ様、ジード、少し休ませてもらいますよ」
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