魔界動乱期
そしてサーベルタイガーがフッと何度も息を吹くと、無数の拳大の火の玉が、膝を落とすセレナに向けて襲いかかる。
その攻撃を察知したセレナは、咄嗟に氷のシールドを張った。

「防ぎきれるといいなあ」

火の玉がシールドに触れる。
バリバリ!

「!!」

氷のシールドは全く意味をなさず、全ての火球がセレナに降り注がれた。
途端にセレナのいる場所から天高く火柱が上がる。

「ガハハハ!焼いて食うのにちょうどいいわ!」

しばらくその炎を笑いながら見ていたサーベルタイガーは、その異変に気付く。
火柱の炎が、徐々に真ん中に集まっている。
そしてやがてそれは大きな火球へと形を成す。

「な、なんだと……?」

火柱が火球へと変わったとき、その下には無傷のセレナが立っていた。
火球を作り出したのは、セレナだったのだ。

「やろう!氷の属性だけじゃなかったのか!」

「さっきお前は言ったな。‘自分の魔力に驚いているだろう’と。私が驚く理由がどこにあるのだ」

セレナは静かに口を開くと、魔力が爆発的に膨れ上がった。

「遥か格下のお前に」
< 330 / 432 >

この作品をシェア

pagetop