魔界動乱期
バカッとセレナを守る鎧が砕ける。
さらにその衝撃は鎧にとどまらず、セレナの体内にも多大なダメージを与えた。

「あ…うぅ……、くそっ……」

既にセレナは満身創痍で、かろうじて意識を保っているだけの状態であった。

「この牙で串刺しにするか、それとも丸焼きにして食事の準備にするかなあ」

サーベルタイガーは大きな口を開け、セレナの首や頬を舐めまわす。

「や、やめろ……下衆…が……」

「ひとおもいに殺して欲しいか?そうだな……」

グサッ!

「ううっ!」

サーベルタイガーはセレナの固定された左腕の二の腕部分を牙で突き刺した。

「やっぱりもう少しいたぶるか」

「ら、ラウド様……、私はもう……」

セレナの目から涙がこぼれ落ちる。
自分の運命を狂わせた魔獣を目の前にして、目的を果たせずに終わってしまう悔しさで涙が流れた。

「助けて欲しいなら命乞いをしてみろよ!オラ!オラ!」

「あっ!うっ!うあぁ!!」

サーベルタイガーの鋭い牙が、セレナの腕を、足を、何度も突き刺す。
激痛と血の量でセレナの目が霞み始め、ガクッと体の力が完全に抜けた。
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