魔界動乱期
「お前ら、モルキとやる気だったのか?」

モルキとジードとの戦闘を確認したゲルとゲラは、すぐさま自エリアに戻り、全員にその事実を告げた。
そして叫んだ。

「ボスのために命を捨てられるヤツだけついてこい!!」

ジードグループのメンバーは皆、本集団を持つ魔獣である。
第二優先のジードグループで絶望的な戦力に向かってゆく義理はない。
にも関わらず全てのメンバーがゴブリンエリアに駆けつけていた。

この光景を見たグレオは、ジードグループの絆を、そしてジードの器を再確認する。

「皆、モルキはウチのボスと、新しく仲間に加わったグレオとで追い払ったぜ」

ニコがそう伝える。
沸き上がる歓声。

「殊勲はニコさ。グレオを連れ出したのも俺を水流から救い出してくれたのもニコだ」

ジードはこの戦いで多くのモノを得た。
モルキに向かっていった勇気、仲間との絆、そして自分の中に眠る無限の可能性。
ジードの真の歩みは、ここから始まる。
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