魔界動乱期
衝動的にその場に来たものの、セレナは何を言って良いかわからずにジードの方を見たり、下を向いたりしている。
そしてそれはジードも同じだった。
初めて出会ったとき、セレナにとってジードは、英雄ともてはやされ実力以上の評価を受けた天狗に思えた。
ジードにとってセレナは、高飛車でプライドの高いムカつく女だった。
しかし今、二魔の間には確かな絆が芽生えている。
戦いに必死だったさっきまでと比べると、互いに照れ臭く気まずささえ漂っていた。
「セレナ、黙って行こうとして悪かったな。な、なんかよ……これ以上いると、別れづらくなりそうでさ」
「どうして?」
「親父の事とか、お前の事とか、それに、なんか他愛のない話したり、普通の事を色々と話せたら楽しいだろうな……とか思ったりしてよ」
「う……、そ、そうなのか。でも、いいじゃないか、そういうのも……」
途端にセレナの顔が赤みを帯びる。
それを見たジードも照れ臭そうに言葉を飲み込んだ。
互いに初めての感覚だったのだろう。
こんなにも強く異性を意識することが。
「でも俺は、前に進み続けなきゃならないんだ。森のみんなのためにも、自分のためにも。そして、アバルのためにも」
「アバルのため……?」
ジードは少し上を見上げる。
そこには強い志に満ちた瞳があった。
「セレナ。お前の運命を、俺が変えてやる……!」
「ジード……」
スッとセレナがジードの方へと歩み寄る。
そしてジードの口を、自分の口で塞いだ。
しばらくの静寂が二魔を包み込んだ後、セレナはゆっくりと唇を外す。
「セ、セレナ!?」
そしてそれはジードも同じだった。
初めて出会ったとき、セレナにとってジードは、英雄ともてはやされ実力以上の評価を受けた天狗に思えた。
ジードにとってセレナは、高飛車でプライドの高いムカつく女だった。
しかし今、二魔の間には確かな絆が芽生えている。
戦いに必死だったさっきまでと比べると、互いに照れ臭く気まずささえ漂っていた。
「セレナ、黙って行こうとして悪かったな。な、なんかよ……これ以上いると、別れづらくなりそうでさ」
「どうして?」
「親父の事とか、お前の事とか、それに、なんか他愛のない話したり、普通の事を色々と話せたら楽しいだろうな……とか思ったりしてよ」
「う……、そ、そうなのか。でも、いいじゃないか、そういうのも……」
途端にセレナの顔が赤みを帯びる。
それを見たジードも照れ臭そうに言葉を飲み込んだ。
互いに初めての感覚だったのだろう。
こんなにも強く異性を意識することが。
「でも俺は、前に進み続けなきゃならないんだ。森のみんなのためにも、自分のためにも。そして、アバルのためにも」
「アバルのため……?」
ジードは少し上を見上げる。
そこには強い志に満ちた瞳があった。
「セレナ。お前の運命を、俺が変えてやる……!」
「ジード……」
スッとセレナがジードの方へと歩み寄る。
そしてジードの口を、自分の口で塞いだ。
しばらくの静寂が二魔を包み込んだ後、セレナはゆっくりと唇を外す。
「セ、セレナ!?」