魔界動乱期
その夜遅く、セレナ宅―。

「ホルンのヤツ、第八師団の溜まりにたまった仕事を私に押し付けよって。だが、師団長である私がやる事ばかりだから仕方ないか。ジードに会えなかったのは残念だが……」

そのとき、セレナは何か不穏な空気に気付く。
辺りは静かだ。
しかし、その大きく抑えきれない程の魔力が近くにいるのを、セレナは感じとった。
そして、その魔力が発しているのは、明らかな殺気であるということも。

「誰だ!?」

セレナが構えると、部屋の窓ガラスがパリンっと割れ、外から一魔の魔族が侵入してきた。

「グレーの鎧?……暗軍か!なぜ、暗軍がここに」

暗軍が静かに口を開く。

「初めて顔を合わせるな。私はドグマ。暗軍の十二位だ。ダークエルフの貴様が良からぬ事を企んでいるという事でな。消しに来た」

「良からぬ事だと!?それは、アバル様の命なのか!?……ホルンはこれを予感して?ホルンが危ない!」

「ホルンは既に消されたよ。お前達には関連の深い、エドガー様の手によってな」

「エドガー……!」

その瞬間、セレナの怒りに火がつき、ダークエルフの力が開眼される。

「ほう、大した魔力だ……む、まだ上がるのか?」

ここで、ドグマの予想外の出来事が起こる。

「こ、こいつ……!?ならば私も、ゾーマで得た力を貴様で試すとしよう」
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