魔界動乱期
「けっ!弱い奴等に狙いをつけてるだけだろ?」

「ところがそうでもない。モルキなどの、一魔エリアの魔獣も標的にされているらしい」

モルキがゴブリンエリアを襲ったのは、餌場狩りにより遠出をしたためだった。
さらにラウドは言葉を続ける。

「さらにな、ユニコーンのモノケロウスがディナスの手に落ちた」

「モノケロウスが!?‘狂暴化’したモノケロウスを打ち破ったヤツがいるってのか!?」

この情報に少なからずデグタスは驚く。なぜならモノケロウスは、一魔エリアを形成する者の中でも上位魔獣と目され、例えばモルキクラスなどは遥かに凌ぐ魔獣であるからだ。

「そうなるな。だからデグタス、お前は大丈夫だと思うが、くれぐれも注意を……、っと、逆効果だったか」

ラウドが感じたように、デグタスは好戦的な笑みを浮かべ、自分をも危うくさせるかもしれない敵の出現に喜びすら感じているようだった。

「面白え。もう森には俺に挑んでくるような猛者もいねえしよ。久々にドンパチやりてえってもんさ」
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