魔界動乱期
「え?なんだい?」

「ううん。あたしもジードと同じ。歴史に興味があるだけ。……もう行かなきゃ」

レンはそう言って書庫を出ていった。

「はあ、駄目だなあたし。ジードにロイドさんの姿を重ねるなんて。でも‘ああいう感じ’の魔族はロイドさん以来だから……」

レンはジードに何か他の魔族とは違うものを感じていた。
力強く、温く、何かを期待させる魅力を。

ジードはレンの様子が気になりつつも、魔神に関する記載のある書物を片っ端から漁る。

「戦闘神の中でも特に破壊神と呼ばれるエルナークの力は強く……、魔を宿したそのオーラは黒く熱い……。これは……」

魔神に関する記述のある書物は思っていたよりも存在した。
中には、アバルの学者の研究文もある。

「神々は、死後もその魂を千年は残存させる事が出来る。エルナークは特別な能力を持っており、草や木などに魂を寄生させ、半永久的に魂を残存させている……」

エルナークの生まれ変わりを討つため、魔界に残ったイーフリートの死後千年経ち、その魂が完全に消滅したと考えられるのは魔界歴K-7500年前後。

「約五百年前か。じゃあ、セクド・エルナークの生まれ変わりは大体五百歳くらいの可能性が高い?親父と同じくらいだ」

更に、アバルに存在するという神殿に関する記述もあった。
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