魔界動乱期

禁断のエリアに迷い込んできたのは、群れからはぐれたハイエナ。
そしてそのハイエナは、そのエリアの主が佇んでいる姿を目にして、恐怖にうち震える。

「よ、妖狐……！はわわっ、し、死んだ……」

相変わらず妖狐の膝は、ホワイトベアの赤子のエリアとなっている。
妖狐はハイエナの方も見ずに一言だけ告げる。

【我がそちらを向く前に去れ】

「ひいっ！……え、殺さないの？じ、じゃあ遠慮なく！」

慌てふためきながら、ハイエナは急いでその場を去った。
しかしハイエナはエリアを出て落ち着いたとき、ふと考える。

「禁断のエリアに足を踏み入れた者は必ず殺されるはず。なんで俺は生かされたんだ？もしかして妖狐は、戦えない理由があるのか？」

ハイエナは森でも最弱種と言われているが、悪知恵の働く魔獣である。
他の者の弱味を見つければ、ひたすらそこを突く事で自分達の優位性を保ち、この森で生きてきた。

九死に一生を得たこのハイエナは、自分が生かされた理由を深く掘り下げ、大胆な行動に出る。