魔界動乱期
【自分のエリアの外に出て殺戮する。確かに前よりひどい変わり様か】
自分に呆れるように妖狐は言葉を吐き捨てる。
「違う。お前は私達と同じだ。喜び、怒り、悲しむ。その感情をお前は持っているじゃないか。その感情は自由に出していいんだ」
妖狐は振り向いてラウドに言った。
【感情など、とうの昔に捨て去ったと言ったろう】
「違う!お前は感情を無理やりしまい込み、出し方を忘れてしまっただけだ」
妖狐は静かに首を横に振る。
「では妖狐、どうしてお前は……涙を流しているんだ?」
妖狐の右目からは、ツツーッと一筋の涙が流れていた。
それは赤子を殺された悲しみ。
そしてラウドとの約束を破り、束の間掴みかけた‘女であること'の幸せを放棄しなければならない無念の涙。
結局愛する者と一緒になることは叶わない。
‘あのとき’と同じ事を、再び繰り返しただけなのだ。
しかし妖狐の涙の意味を感じとったラウドは、妖狐を正面から抱き締めた。
「妖狐、その感情はお前自身のものだ。お前は以前のお前じゃないよ。戻る必要はない。お前は私の側にいればいい。お前の全てを私が背負ってやる!」
ラウドは再び、妖狐のエリアで手にした衣服をはおわせた。
【‘わたし'は、女でいて良いと言うのか?】
「もちろんだ」
自分に呆れるように妖狐は言葉を吐き捨てる。
「違う。お前は私達と同じだ。喜び、怒り、悲しむ。その感情をお前は持っているじゃないか。その感情は自由に出していいんだ」
妖狐は振り向いてラウドに言った。
【感情など、とうの昔に捨て去ったと言ったろう】
「違う!お前は感情を無理やりしまい込み、出し方を忘れてしまっただけだ」
妖狐は静かに首を横に振る。
「では妖狐、どうしてお前は……涙を流しているんだ?」
妖狐の右目からは、ツツーッと一筋の涙が流れていた。
それは赤子を殺された悲しみ。
そしてラウドとの約束を破り、束の間掴みかけた‘女であること'の幸せを放棄しなければならない無念の涙。
結局愛する者と一緒になることは叶わない。
‘あのとき’と同じ事を、再び繰り返しただけなのだ。
しかし妖狐の涙の意味を感じとったラウドは、妖狐を正面から抱き締めた。
「妖狐、その感情はお前自身のものだ。お前は以前のお前じゃないよ。戻る必要はない。お前は私の側にいればいい。お前の全てを私が背負ってやる!」
ラウドは再び、妖狐のエリアで手にした衣服をはおわせた。
【‘わたし'は、女でいて良いと言うのか?】
「もちろんだ」