魔界動乱期
「自由に、か。ガルバイルさんは何かをわかって言っている。俺が、アバルの反乱分子だと……?だったらいいんだよな、反旗を翻しても。俺が裏切る事が、あんたの望みなのか罠なのか知らねえが、俺の意志を優先させてもらうぜ!」

そしてジードは念交信種を口に含み、何魔かの魔族と交信を交わした。
それから一週間、ジードは首都から離れた山奥でひたすら瞑想を続ける。
ケルベロスを倒したときの‘あの状態’をイメージしながら。


一週間後―


ゲーハルト出兵のため、アバル王都が物々しく動き出していた。
アバル軍の先頭に立って兵を率いているのはエドガー。
そして真ん中に金の鎧を装着したヅェシテと、その隣にゾラがいる。
その集団を城から眺めるアバル。

「ふふ、我が国も日に日に大きくなる。しかしお主はわざわざ滞在する必要はなかったのだぞ?すぐに終わる戦争だ」

「憂いあれば備えあり、と言います。万が一の事がありますゆえ」

アバルの隣には、真っ黒な鎧に身を包んだガルバイルでが立っていた。
その眼光は鋭く遠くを見つめる。
更に、ゲーハルトにも不穏な影が。

それぞれの思惑が絡み合った長い一日が始まろうとしていた。

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