魔界動乱期
昼間、レンはいつものように書庫へと足を運ぶ。
書庫のドアを開けると、レンは中から魔族の気配を感じた。
「ジード!?」
するとその魔族はニコッと笑いながら出入口にやってきた。
「ご期待に添えなくて悪いなレン」
「あ……、ガルバイルさん!期待なんてそんな……、別にしてないし」
つい‘ジード’と発してしまった自分に気が動転しつつ、ガルバイルの言葉でレンは頬を赤らめて下を向いた。
「まあ座れよ」
「う、うん」
レンは言われるままに座り、ガルバイルの顔をジッと見る。
「……?どうした?ああ、俺が城にいるのが珍しいからか」
「ううん」
レンは首を横に振り、しばらくガルバイルを見つめる。
「ガルバイルさんは、他の魔族とは違うのね」
「何がだ?」
「ゾーマの術式を施された魔族は、ほとんどが悪意……ううん、狂気を身に纏う。変わらないのはガルバイルさんくらい」
ゾーマは魔族の本能である闘争の血を、限界を越えて引き出すものである。
ゾーマによって創られた右胸に宿る核(コア)は、狂気の種。
ゾーマにより力を最大限引き出すには、自らの精神力でそのドス黒い狂気を抑え込むか、もしくはその狂気に身を任せて自我を保ち続けるかの二つしかない。
「自我が崩壊して魔力を弾かざるを得なかった魔族もいたわ」
「だが、そのおかげで良い結果になった領地もある。オンタナなんか良い例だ」
十八師団の師団長はゾーマによって魔力を失い、当時副師団長だったバンジュウが師団長になったのである。
書庫のドアを開けると、レンは中から魔族の気配を感じた。
「ジード!?」
するとその魔族はニコッと笑いながら出入口にやってきた。
「ご期待に添えなくて悪いなレン」
「あ……、ガルバイルさん!期待なんてそんな……、別にしてないし」
つい‘ジード’と発してしまった自分に気が動転しつつ、ガルバイルの言葉でレンは頬を赤らめて下を向いた。
「まあ座れよ」
「う、うん」
レンは言われるままに座り、ガルバイルの顔をジッと見る。
「……?どうした?ああ、俺が城にいるのが珍しいからか」
「ううん」
レンは首を横に振り、しばらくガルバイルを見つめる。
「ガルバイルさんは、他の魔族とは違うのね」
「何がだ?」
「ゾーマの術式を施された魔族は、ほとんどが悪意……ううん、狂気を身に纏う。変わらないのはガルバイルさんくらい」
ゾーマは魔族の本能である闘争の血を、限界を越えて引き出すものである。
ゾーマによって創られた右胸に宿る核(コア)は、狂気の種。
ゾーマにより力を最大限引き出すには、自らの精神力でそのドス黒い狂気を抑え込むか、もしくはその狂気に身を任せて自我を保ち続けるかの二つしかない。
「自我が崩壊して魔力を弾かざるを得なかった魔族もいたわ」
「だが、そのおかげで良い結果になった領地もある。オンタナなんか良い例だ」
十八師団の師団長はゾーマによって魔力を失い、当時副師団長だったバンジュウが師団長になったのである。