魔界動乱期
こうして森の最強集団が手を組み、さらにセラトが親交種族に協力を仰ぐため森を飛び回った。


【ジード・エルナーク……全てを破壊せよ。更なる‘魔’に目覚めよ……!】


「うわっ!」

ジードは頻繁にこの‘声だけの夢’を見ていたが、最近の、特にモルキとの戦闘以来はほぼ毎日この夢で目が覚める。

「これ、夢なのか……?なんか体の奥底から響くような、気持ち悪いなちきしょう」

この頃すでにジードには、森の一大戦争が近々勃発する事実を知っていた。
ウルフ軍に属するニコや、他のジードグループの面々もゾイドとつながりのある集団に所属している者がおり、彼らが戦争へ参加するという報告を受けていたからだ。

「ジード、ずいぶんうなされていたな」

「あ、ああ、おはよう。……親父は、戦争に参加しないのか?」

ラウドは少しやるせなさそうな顔をする。

「今回の戦争は、ディナス軍とイグニの間の遺恨によって引き起こされたもの。それに私の意志はルークに託したからな。森を愛する二魔の‘ボス’が手を組めば、私の出る幕はあるまい」
< 40 / 432 >

この作品をシェア

pagetop