魔界動乱期
ジードは地下にある牢獄の見張りも同じように気絶させ、鍵を奪った。
牢獄には三十魔程の魔族が収用されている。

「あんた方、皆ゾーマ?」

「そうじゃが、貴方は?」

長老らしき魔族が返事をすると、ジードは急いで鍵を開ける。

「説明してる暇はない!階段を上ったら真っ直ぐ走るんだ!外が見える場所まで」

そして全てのゾーマが解放されると、皆ジードの言葉を信じて一斉に走り出した。
城内には深夜でも常に警備のアバル兵が巡回している。
先頭を走るジードがアバル兵を見つけると、一瞬で殴り飛ばし先へ進む。

「よし、ここでいい。三十魔もの魔族を持ち上げてコントロールするとなると……」

ジードは精神を集中する。
するとボワッと白い光の魔力が放出され、それとともに膨大な魔力が溢れ出した。

「この魔力は!?ジードか!?」

突如発生した大きな魔力に気付いたのはガルバイルだけではない。
ほとんどのアバル兵がジードの魔力を捉えていた。
同時に、巡回の兵が監視室の異変を見つけ、緊急発令の警報が城に鳴り響く。

「行くぞ!」

ジードが風の魔法を放つと、それは全てのゾーマを包み込み持ち上げた。

「おお!」

四階に上昇すると、吹き抜けの場所にはレンが待っていた。

「ジード!」

「レン、跳べ!」

「わかったわ!」
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