魔界動乱期
一週間前ラウドと交信したとき、ジードは魔穿義団についても聞いた。
目的はエルナークであり、そしてゾーマの殲滅であることも。

「くっ、こんなときに……!」

リョーザは火柱からジードの風の上に飛びうつり、キッとジードを見る。

「リョーザ、……よく首都に入ってこれたな」

するとリョーザの体がワナワナと震えだした。

「オメエがなんもしてくれねえからよ!わざわざ近隣の村で農作業手伝って友達作って……今日の夕方にやっと入れたんだバカヤロウ!」

「あ、相変わらず律儀なヤツ……」

「まあ、それはいいんだ。ジード、オメエの目的ってのはこのコか」

リョーザが鋭い眼光でレンを睨む。

「リョーザ、待……」

ジードはレンの前に立ち、戦う姿勢を見せると、リョーザが突然豪快に笑い始めた。

「カワイコちゃん救うために首都に入ったってか!皆仲間か?そのためにアバルを敵に回すたあ、あっぱれじゃねえか!」

「え?え?気付いてねえのか……?」

「オメエは逃げる、俺は目的のために戦う。利害が一致したんなら手助けしてやるぜ!」

そしてジードが何かを閃いたようで、悪巧みの顔をする。

「そ、そういやあ、俺にはなんのことかわからねえけどよ。あの砂の魔法のヤツがゾーマがどうとか言ってたな。俺しか知らない秘密がどうとか……。なんだ?ゾーマって」

ジードの言葉で、リョーザがピクンと顔をヒクつかせた。
そしてニッコリと笑顔を作る。

「まあ、言えねえんだがよ!ジード……オメエってヤツは最高だぜ!がっはっはっ……」

リョーザは笑いながらガルバイルのいる城内へと飛びうつって行った。

「あいつが馬鹿でよかった。よし、俺達は移動だ!一旦海へ出て、大陸の端から端まで三、四日飛びっぱなしで行くからな!」
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