魔界動乱期
その言葉を聞きながらも、ジードにはラウドの表情が気になった。
ジードは、ラウドがこの森をルークに負けず劣らず愛しているように思えている。そして、ラウドが参加したい気持ちを押し殺しているように見えたからだ。

その理由はラウドの過去が原因だという事もなんとなく感じている。
ギルシャス時代、戦争で全てを失った過去。

「親父、俺はこの戦争に参加するぜ。もちろんルークさん側として」

ラウドはこの言葉を予想していた。
ジードは真っ直ぐで仲間想いである。仲間が戦争に駆り出される状況を黙って見ている男ではない。
そんな息子を誇りに思いながら、反面、戦争の恐ろしさを知らないジードを戦争に向かわせるのは親としては許したくない。

「……お前には仲間がいるのだろうからな」

「え?し、知ってたの……?もしかして、ルークさんも?ニコめ、しゃべったな……」

「モルキとあれだけ派手にやりあって、知らないはずあるまい」

ラウドはニコを気遣い、そう口にした。

「あ、そ、そうか。まあそれならルークさんに言いやすくていいやな。参加表明」

「ふっ、そうだな」
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