魔界動乱期
エドガーは自分の身の回りで起きている異変にはまだ気付いていない。
セレナの体中の血管が浮き出て、やがてそこからブシュッと血が吹き出す。
「ぐっ……ジード、ホルン、力を……貸して!」
ブァッとセレナの両腕が閉じられ、目の前でクロスした。
その瞬間、砕かれた黒球の破片が集まり、エドガーを覆うように形を成す。
そして黒球の中で、稲妻が瞬く間に何百もの往復を繰り返した。
「ギャアアァァァァ!!」
そしてエドガーは全ての稲妻をその身に受け、黒球が消えたときには黒焦げになり立ち尽くすエドガーの姿が残った。
一度弾かれた魔法を強引に元に戻す未知の領域。
ゆえにエドガーは無警戒であった。
セレナは、無限に広がる魔法の可能性を信じて、実行したのだ。
全ての力を使い果たしたセレナは倒れ込み、意識を失いかける。
しかし、ギシギシ…という何かの音を感じ、辛うじて意識を保った。
「ここを離れなければ……。きっとアバル軍が入ってくる。……え?」
セレナは膝に力を入れ立ち上がり、ふと音の方向に目をやると、その光景に言葉を失った。
「エ…ドガー……!」
エドガーは黒焦げのままだ。
しかし絶命したと思われたエドガーが、少しづつセレナに近づいているのである。
セレナには魔法を放つ力は残されていない。
それどころか、剣をひと振りする力すらも皆無であった。
それでもセレナは両手で剣を持ち、腰の位置に据えて身構える。
「私にはもう、剣を持って倒れこむ力しか残されていない。そのまま近付いてこい……」
エドガーがあと僅かで射程距離に入ろうとしたとき、セレナの予想外の出来事が起きる。
エドガーの腕が通常では考えられないほど、伸びてきたのだ。
さらにその伸縮自在の腕は槍状に変化を遂げ、セレナの首筋に狙いをつける。
「よけられない!」
セレナの体中の血管が浮き出て、やがてそこからブシュッと血が吹き出す。
「ぐっ……ジード、ホルン、力を……貸して!」
ブァッとセレナの両腕が閉じられ、目の前でクロスした。
その瞬間、砕かれた黒球の破片が集まり、エドガーを覆うように形を成す。
そして黒球の中で、稲妻が瞬く間に何百もの往復を繰り返した。
「ギャアアァァァァ!!」
そしてエドガーは全ての稲妻をその身に受け、黒球が消えたときには黒焦げになり立ち尽くすエドガーの姿が残った。
一度弾かれた魔法を強引に元に戻す未知の領域。
ゆえにエドガーは無警戒であった。
セレナは、無限に広がる魔法の可能性を信じて、実行したのだ。
全ての力を使い果たしたセレナは倒れ込み、意識を失いかける。
しかし、ギシギシ…という何かの音を感じ、辛うじて意識を保った。
「ここを離れなければ……。きっとアバル軍が入ってくる。……え?」
セレナは膝に力を入れ立ち上がり、ふと音の方向に目をやると、その光景に言葉を失った。
「エ…ドガー……!」
エドガーは黒焦げのままだ。
しかし絶命したと思われたエドガーが、少しづつセレナに近づいているのである。
セレナには魔法を放つ力は残されていない。
それどころか、剣をひと振りする力すらも皆無であった。
それでもセレナは両手で剣を持ち、腰の位置に据えて身構える。
「私にはもう、剣を持って倒れこむ力しか残されていない。そのまま近付いてこい……」
エドガーがあと僅かで射程距離に入ろうとしたとき、セレナの予想外の出来事が起きる。
エドガーの腕が通常では考えられないほど、伸びてきたのだ。
さらにその伸縮自在の腕は槍状に変化を遂げ、セレナの首筋に狙いをつける。
「よけられない!」