魔界動乱期
星牙の肩に、炎駒が手を置く。

「平和はただ待っててもやってこないんだろ?」

更に青據も炎駒の言葉に続く。

「覚悟を決めてもらわにゃ困るち。あんたが最初に言ったんだから。開拓者になるち言うてな」

そしてミズーリ王が立ち上がった。

「星牙さん程の器量を持つ魔族が、平和の国を造っただけで満足してもらっちゃ困りますな」

さらにドゴル王が。

「そうじゃ。この際、平和な魔界造りを考えてもらわにゃな。そのためなら儂らは命を託そう」

「わ、私が……?」

この日、魔界に新たなメディオが誕生した。
四麒麟は元々魔界を転々とし、その名声は広く知れわたっている。
それからしばらく、フロティアは魔界中の話題をさらう。
それは別大陸のグレイド、ギルシャスにも広まっていた。

「さて、今日の師団長会議に、なぜ第二師団長のバルザではなく、副師団長のリングウェルが来ているんだ?」

議席に座る、ギルシャス軍団長のラウドがリングウェルを睨み付ける。

「い、いやその……バルザさんは……」

リングウェルは、出際に聞いたバルザベルクの言葉が頭に反芻していた。

‘いいかリングウェル。出来るだけラウドを怒らせろよ。そうしなきゃ面白くねえんだからな’

「バルザはどうしたと聞いているんだ。私は別にお前を怒るつもりはない。バルザに後で重い重ぉい罰則を課すために根掘り葉掘り聞きたいだけだ」

しばらくの静寂の後、リングウェルが言葉を発する。

「バルザさんは……女の子とデートだと……」

「デートのためにこの会議をサボったのか!」

ガッとラウドが立ち上がり青筋を立てていると、勢いよく会議室の扉が開く。
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